はじめに

先日、東京家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きました。
この通知書を手にした瞬間、
ようやく長かった不安から解放されたような気持ちになりました…。
今回の相続放棄は、一般的なケースとは少し違います。
わたしは「祖父の相続放棄は終わっているから、もう自分には関係ない」と思っていました。
しかし、祖母が亡くなって約1年後、
突然叔父から届いた一通のメッセージで状況は一変。
同じような状況で悩んでいる方の参考になればと思い、
わたしが経験したことを時系列で残しておきます。
祖母が亡くなってから約1年。突然届いた叔父からの連絡

母方の祖母は令和6年9月に亡くなりました。
わたしは祖母が亡くなったこと自体は知っていたけど、
その後、遺産についての話も借金についての説明も一切、叔父(母の弟)叔母からはありませんでした。
一周忌にも呼ばれることはなくて、
このままこの人たちとは関わることなく終わるのだろうと思っていました。
ところが祖母が亡くなって約1年後、去年の師走に
突然、叔父からメッセージが届いたのです。
内容は「遺産分割協議書に署名してほしい」というもの。
正直、「なぜ今さら?」という気持ちしかありませんでした。
それまで何の連絡もなく、法事にも呼ばれず、
関係を絶とうとしていたように感じていた相手から、
相続の場面になった途端に連絡が来たのです。
しかもその時にも相続財産や負債について具体的な説明は一切ありませんでした。
わたしは「祖父の相続放棄をしたから終わっている」と思っていた

祖父が亡くなったのは2012年。
その時も少々おかしく、直ぐに負債や資産についての話は聞いたことが無かったのです。
(当時は母も生きていたので、母は知っていたのかもしれません)
それから7年後の2019年に突然、叔父から
「祖父には多額の負債があるので、相続人全員で相続放棄をしよう」と
連絡が入り、わたしは相続放棄の手続きをしました。
そのためわたしは長い間、
「祖父の件はもう終わった」と思っていました。
当然、祖母も祖父の相続放棄をしているものだと思い込んでいました。
祖母宛に葉書が届いたり、お金について叔父には逆らえない…のような旨の話は
生前、祖母の口からぽつりと出たことはありましたが
祖父の相続放棄については、祖母本人からも叔父からもはっきり聞いたことは
一度も無かったのです。
だから今回、自分が遺産分割協議書への署名を求められたことに
強い違和感を覚えました。
こちらから叔父にこの件について質問をしてもはぐらかすように、
核心をついたことは避けて言ってこない。
「何かおかしい。」
その直感だけは間違っていませんでした。
弁護士へ相談。そして衝撃の事実

義父の紹介で弁護士へ相談。
わたしは「祖父の相続放棄をした人」を調べてもらうよう依頼しました。
すると、しばらくして思いもよらない事実が判明します。
祖母は祖父の相続放棄をしていませんでした。
つまり祖母は祖父の相続人として、
相続をしていたということです。
この時初めて、自分にも
祖母の相続放棄が必要になる可能性があることを知りました。
さらにもう一つ驚いたことが。
わたしはこれまで「祖父の相続放棄をした」と思っていたのですが
実際には、わたしは母が亡くなった後、
母の立場を引き継ぐ「再転相続人」として母の相続放棄をしていたことが分かったのです。
(結果として祖父の相続を放棄しているのと同じではあるのですが)
法律の仕組みは本当に複雑で、
自分一人では到底理解できる内容ではありませんでした。
「相続放棄できないかもしれません」

弁護士から言われた言葉で、一番ショックだったのはこれ。
「家庭裁判所は、祖父の相続放棄を経験している以上、
祖母の相続についてももっと早く状況を知り、手続きをするべきだったと考える可能性があります。」
頭が真っ白になりました。
わたしは不安な中でも相続放棄できるものだと信じていたので
「認められないかもしれない」という可能性を初めて突き付けられたのです。
精神障害者手帳を持っていることもあり、不安はどんどん膨らみました。
もし放棄が認められなかったら。
もし多額の負債を負うことになったら。
夫や父にまで迷惑をかけてしまうのではないか。
そんなことばかり考えるようになり…
それでもここで諦めるわけにはいかないので
弁護士と話し合い、出来る限りの事はしなければと努めました。
叔父から何度か届くメッセージ

わたしが弁護士へ依頼している間も、叔父からは何度か連絡が来ました。
「進捗状況を教えてください。」
「相続放棄申述受理通知書の原本を送ってください。」
祖父の相続放棄をした時の受理通知書の原本まで送ってほしいと言われた時は、
本当に驚きました。
もちろん原本を送るつもりは毛頭ありませんでしたが。
(原本は当事者だけが持つものです。)
その後も、わたしが返信をしないために
父にまで連絡をしていました。
そしてそんな時だけわたしのうつを引き合いに出して
「彼女の病気の事も鑑み、時間的に余裕を持って連絡をしていたのですが…」などと
さも気遣っているような文面を平然と送る失礼な叔父に、嫌悪感すら芽生えて。
(わたしのうつを最初から認めなかった人です。)
代わりに父からわたしに連絡をとってもらえないか、
交渉しようとしていたようですが
父は
「私は相続人ではないため、一切関与しません。」
と毅然とした態度で返信してくれたのである意味で救われました。
わたしはそれからも叔父への返信をせず、
すべて弁護士に相談しながら進めていました。
家庭裁判所へ申述。そして電話

必要な戸籍を集め、弁護士の助言も踏まえた申述書を作成し、
家庭裁判所へ郵送しました。(弁護士の不手際があり5月の終わりのことです)
数日後、家庭裁判所から電話が。
弁護士に報告するため、その日のうちには折り返すことが出来ず
翌日まで「何を聞かれるのだろう」と眠れないほど緊張していました。
しかし実際に聞かれたのは
弁護士から届いた照会書の封筒が残っているかどうか、という一点だけ。
弁護士の動きが悪く、こちらに照会書が来るのがかなり遅れていたので
申述書に記した時系列を再度確認したかったのかもしれません。
その他、申述書の内容について厳しく追及されることはありませんでした。
電話を終えても不安は残っていましたが、「あとは待つしかない」と腹をくくりました。
そして、相続放棄受理通知書が届いた

電話連絡から約2週間後。
家庭裁判所から一通の封筒が届きました。
開封すると、中には
「相続放棄申述受理通知書」
が入っていました。
その瞬間これまで張り詰めていた糸が切れたように安心しました。
約半年間、不安と緊張の中で過ごしてきましたがようやく終わったのです。
相続放棄に向けて用意したもの

弁護士に関しては、義父からの紹介なので
今回は割愛します。
弁護士に相談する前に、
・相続放棄申述書(家庭裁判所の書式・記入だけ)
→「家庭裁判所 相続放棄申述書」と検索をかければ出てきます。
・祖母の死亡の記載がある「戸籍(除籍)謄本」
・祖母の住民票
・わたしの戸籍謄本
・母の除籍謄本(2015年に亡くなっているため)
を用意しました。
母との関係性(亡くなっている事の証明、わたしが再転相続人である事の証明をするため)
祖母と母、祖母とわたしの関係性(祖母の孫である証明)
をしっかり家庭裁判所に伝えなければいけないからです。
祖父の相続放棄の時に提出しているのは
その時のみ有効で、また更に放棄をするなどの際には
このように改めて用意をしなければいけません。
今は籍のある現地に行かなくても取得できる
「広域交付制度」もあるので、
住まわれている市区町村の役所(受付窓口)へ連絡をしてみてくださいね。
同じように悩んでいる方へ

相続放棄は、「被相続人が亡くなって3か月以内」とよく言われます。
しかし、今回の私のように後から事情を知るケースもあります。
(祖父の時にも7年経って相続を知り、放棄出来ています)
担当弁護士もよくあるケースだと言っていました。
だからこそ、
「もう無理だ。」と決めつける前に一度専門家へ相談してほしいと思います。
また親族から言われたことだけを鵜呑みにしないでください。
それらしい文面で送られてきても、事実かは判らない。
・なぜ負債があると言っているのに遺産分割協議書なのか
・「先生が言っている」と言う割に、言っている内容が素人感満載でおかしい
・父を相続人扱いしている時点でおかしい(専門家が付いていながら?)
わたし自身も、事実を確認することの大切さを痛感しました。
祖母の相続放棄についてもはっきり知らず、
放棄しているものだと思っていましたがそれも事実ではなかった。
負債も調査の結果、取り消しになっているものもあり、
本当に残っているのか今となっては闇の中です。
今回の経験で学んだことは、相続は思い込みではなく
戸籍や記録を確認して初めて真実が分かるということです。
この半年は本当に苦しい時間でした。
それでも最後まで諦めず、一歩ずつ手続きを進めてきたからこそ
無事に相続放棄が受理されました。
この経験が今同じように悩んでいる誰かの力になれば嬉しいです。
